前著『音のイリュージョン』(岩波書店) に次ぐ、「錯聴」を通して耳と脳の本性に迫る著作です。ここで言う「空耳」は耳の錯覚のことで、万人に概ね共通の現象です。この点、人それぞれに違う「幻聴」とは異なります。
近年の研究から得られた成果を折り込み、幅広い知見から「空耳」を追究していきます。謎に満ちた聴覚の世界ですが、「空耳」は決して負の現象ではなく、脳が世界を認識するための巧みな戦略であるとの主張が貫かれています。
著者は、聴覚の心理物理学と認知神経科学が専門で、NTTコミュニケーション科学基礎研究所に勤める傍ら、東京工業大学大学院教授。幼少期からの電気工作と歌謡曲好きが昂じてこの道に入ったという。
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(ステージ・サウンド・ジャーナル 2013年7月号より)